UP 2012.12.4 HRY
MNC12月山歩会
有馬温泉癒しの森を歩く
◇日時:2012.12.1(土) 曇り一時みぞれ
     9:45〜14:15
◇集合:宝塚駅 9:00 バスA乗場
◇行先:有馬温泉癒しの森
◇参加者:MNC 10人
行程:
宝塚駅0910→(阪急バス)→神鉄有馬温泉駅0945〜温泉寺1010〜愛宕山(1030〜1040)〜鼓ヶ滝1110→炭屋道1200〜魚屋道(1220〜昼〜1250)〜筆屋道〜瑞宝寺1345〜天神泉源1410〜有馬バスセンタ1418〜(阪急バス)〜宝塚駅1450
Route Map 癒しの森案内図

「温泉街」
 山歩会には雨男や雨女がいるのか今年6回の予定が4回も中止。やっと天気に恵まれての催行となったものの、途中で雪やみぞれに降られたのには本当に参りました。とにかく10人が揃って有馬温泉めぐりとなりました。まずは有馬川に架かる「太閤橋」からスタートします。上流を見ると2本の川が合流しています。向かって左が六甲川で瑞宝寺谷から流下、右が滝川で温泉街を暗渠で抜けて、その上流はもみじ谷です。この二つの川に挟まれた台地に温泉街があるわけです。仏座巌、袂石(たもといし)をみて上流へ行くと「ねね橋」がありますが、ねねの像は遠くゆけむり広場の秀吉像と対向しています。目と目が合っているのか双眼鏡で確認してみたいですね。

ねね橋から湯けむり広場を望む
 観光センターに立ち寄り有馬温泉ウォーキングマップをいただきました。泉源めぐりとか歴史コースとか6つのウォーキングコースがありますが、癒しの森は散策道としています。「金の湯」の前にさしかかりました。有馬温泉は道後、白浜と並ぶ日本三古泉の一つ。神代の昔に発見されましたが、8世紀に行基が開発し、12世紀に熊野の仁西が再興、16世紀の秀吉の保護により今日の隆盛つながっています。この3人は有馬温泉の三大恩人と言われています。金泉(含鉄強食塩泉)、銀泉(食塩泉)、炭酸泉、ラジウム泉がありますが金の湯は金泉です。噴出した湯が空気と反応し褐色になります。金の湯は入浴¥650ですが、外に足湯がありますから、疲れた足を癒すのにいいかもしれません。蛇口から出ている温泉を試飲してみましたがなまぬるい塩味でした。

金の湯
 階段を登ると行基創建の温泉寺(おんせんじ)です。さらに長い階段を登ったところに湯泉神社(とうせんじんじゃ)があります。有馬温泉の氏神・守護神です。神代の昔、大己貴命(オオナムチノミコト)と少彦名命(スクナヒコナノミコト)という二人の神様が、人々を病気から守るために国々を旅し、薬草を探しに歩いていた時、傷ついた三羽のカラスが赤い水を浴びて傷を治療しているのをご覧になって有馬の温泉を発見したという伝えから、この二神が湯泉神社草創期より守護神として祀られてきました。温泉神社とも呼ばれるようですが紛らわしいですね。

温泉寺

湯泉神社
 愛宕山(462m)へ登ります。愛宕山は2千万年に火山活動でできた鐘状火山(しょうじょうかざん)で山上に天狗岩があります。登り口の真っ赤な紅葉が見事です。先を行く外人さんが寝転がって写真を撮っていました。頂上からは天気が良ければ京都愛宕山を望むことができると案内にありましたが、直線で45kmですから本当でしょう。展望所へ行こうとしましたが誰もついてきません。振り返ってみたら皆でどんぐり拾いです。おおきなアカガシの樹があり、そのドングリと殻斗は工作の貴重な材料だそうで、お手伝いしました。

愛宕山の天狗岩

アカガシ
 思わぬ時間をとりましたが、かんぽの宿におりてきました。温泉入浴は神戸市営の金の湯、銀の湯がありますが、かんぽの宿も¥700で入浴できます。一般のホテルも可能ですが入浴料金はだいたい¥1000ですから、芋を洗うような市営の温泉に比べたらお得です。温泉街の最上段を走るこぶし道を歩いていくと魚屋道と出会います。この辺りにある鳥地獄、虫地獄はかつて地獄谷から噴出する炭酸ガスで鳥や虫が死んだことに由来しています。少し先に有馬名物の炭酸煎餅を焼いているお店があります。店先に並んでいるのは炭酸フレーク。一袋100円とあって、ほとんど全員が買い込みました。
 有馬3山の一つ、落葉山(533m)を正面に見ながら、ロープウェイ駅の下を通って、ます池から鼓ヶ滝公園に入ります。もう紅葉はほとんど終わりです。一番奥の鼓ヶ滝は高さ10mほどの人工色のする滝ですが、かつては上下2段になっていて、上段は岩の間の空洞に落ちて鼓の音を発したようですが、昭和13年の阪神大洪水で崩れ落ち、その後復元され1段になったものです。休憩に丁度いいのですが、ベンチは茶店のもので有料なので写真を撮って早々に退散します。

鼓ヶ滝
 紅葉谷に通ずる林道を登っていく途中で高塚の清水へ立ち寄ります。有馬三名水の一つで、秀吉が茶の湯に使ったといわれています。林道からの分岐にはテープが木に巻いてあるだけで道標もなく、知らない人は通り過ごしてしまいます。滝川の左岸にあり、飛び石伝いに対岸に渡ってすぐの岩壁の間から流れ落ちています。朽ちかけた案内板が立っています。なぜか岩肌が赤紫色です。岩を割ってみると表面だけが赤紫色なので水質にかかわるもののようです。

有馬三名水 高塚の清水
「癒しの森」
 もとの林道に戻り、少し先の東屋の立つ炭屋道入口から丸太階段を急登していきます。ここから有馬温泉癒しの森で、案内板があります。癒しの森とは兵庫県里山林整備事業の一つとしてH19年に完成した5.3ヘクタールの森で、ちょうど射場山(690m)を半周する地域です。炭屋道、魚屋道、筆屋道を通り瑞宝寺に至る散策路が整備されました。炭屋道は昭和の初めまで炭焼窯が多くあったところからそう呼ばれています。途中には炭焼き窯の跡が残り、シチダンカの群生地(移植したもの)があります。魚屋道まで標高差120mの登りは今日一番のしんどいところです。道標に15分と書いていますが休み休み20分以上はかかったでしょう。魚屋道のベンチで昼食とします。六甲裏銀座といわれるだけあってハイカーが次々と通り過ぎていきます。意外に若いカップルが多いのに驚きました。

炭屋道(有馬癒しの森入口)

筆屋道の展望台で
 寒いので昼休みもそこそこに出発します。屋根のある大きな休憩所を過ぎて少し登ったところが本日の最高点(650m)です。ここから有馬3山の湯槽谷山(801m)や灰形山(619m)が良く見えます。雪が降ってきました。手元の温度計は7℃なので本当かと確かめましたがやはり雪です。冬型の気圧配置で、急激な寒波のため上空の氷雪が解けずに落ちてきたものでしょう。魚屋道から筆屋道を下り始めるころは霰やみぞれになっていました。筆屋道とは有馬特産の有馬筆の材料となる竹材や穂先となる獣類が多く獲れたことに由来するそうです。六甲川の源流を下っていきますが、途中の展望台からは谷間の向うに有馬富士を望むことができました。流れを2度飛び石で渡り、瑞宝寺に近く太鼓滝があります。落差10mのゴルジュの奥の方にある滝なので対岸に渡らないと見えません。うっかりすると見過ごしてしまいます。こちらは落下する音が太鼓に似ているからの命名といわれています。

六甲川を渡る

太鼓滝
 瑞宝寺に出てきました。すでに廃寺ですが立派な山門が残り、園内には名残の紅葉を楽しむ行楽客の姿がありました。イロハモミジはほとんど散り、ドウダンツツジが鮮やかな赤を保っています。紅葉を背景に集合写真を撮影しました。

瑞宝寺山門前で

瑞宝寺公園
 杖捨橋をわたり温泉街に入る。有明第1、第2泉源を経て天神泉源へ。高台から見える湯けむりは、極楽泉源、妬(うわなり)泉源です。このほかの御所泉源と炭酸泉源があります。最後に天神泉源でパイプに噴出している塩のかけらを舐めて本日の締めとしました。

有明泉源

天神泉源で
バス停に着いたらちょうど宝塚行バスがやってきました。ゆっくり温泉に浸かって行こうと思っていた人もつられてバスに乗り込んでしまいました。3時前に宝塚についてしまいましたので例のMレストランで反省会としました。行楽や宴会で有馬温泉に行ったたことはあっても、温泉街をゆっくり回ってみた人は少ないでしょう。こうして歩いてみると、自然観察に、歴史探訪に、なかなか見どころがあるところです。(了)

*2017.11.23現在、2014年の台風禍で有馬ロープウェイ駅〜炭屋道の林道は不通となっています。詳しくはこちら

文・写真・編集/平山

トップ表紙へ戻る 

inserted by FC2 system