MNC9月例会 宿泊研修バスツアー
若狭・敦賀自然観察ツアー
■日時:2009.9.6(日)/7(月) 晴
■行先:第1日 若狭:天徳寺・瓜割の滝、鯖街道熊川宿、三方五湖周辺
     第2日 敦賀:西福寺、気比の松原、中池見湿地
■交通:日交トラベル・バス
■参加者:MNC24名(内ゲスト2名)
<行程>
第1日:
阪急宝塚駅0800〜中国・若狭舞鶴道〜舞鶴PA0940〜小浜西IC1000〜天徳寺・瓜割の滝(1020〜1110)〜鯖街道熊川宿(1120〜昼〜1235)
〜三方湖畔(1300〜1310)〜梅直売所1320〜レインボーライン展望台(1345〜1410)〜ホテルひろせ1435〜若狭海岸弁天岬自然観察(1435〜1600)〜ホテルひろせ(泊)
第2日:
ホテルひろせ0835〜菅浜・馬背峠〜気比の松原(0910〜0940)〜西福寺(0955〜1100)〜そば処はやし(1110〜昼〜1150)〜中池見湿地(1210〜1445)〜小牧かまぼこ(1450〜1530)〜敦賀IC1535〜北陸道・名神〜草津PA1640〜宝塚IC〜阪急宝塚駅解散1800

先の天気が読みにくい8月には週間天気予報を気にしていましたが、幸い二日とも申し分のない天候に恵まれ、バスツアー例会として普段行けないそれぞれ趣の違った場所を訪ねて、心ゆくまで自然観察が出来、また土地の歴史・文化にもふれることが出来ました。特に中池見湿地では、中池見の希少性を訴えつづけ、保全活動をされている笹木さん他3名の方に案内をしていただき、自然観察を通じて「国際的にも注目されている泥炭層」や「複雑な地形に対応した生物多様性」について学び、「絶滅の危機にある自然の保全活動」についても伺うことが出来ました。

第1日 2009.9.6(日)

(1)天徳寺・瓜割の滝
(10:20〜11:10)

最初に訪れた天徳寺は周囲を大きな杉や檜の囲まれた高野山真言宗のお寺ですが、滝に至る道やお寺の庭には様々な苔や植物もあって皆の足が止ったままでした。

名水百選 瓜割の滝

コケの観察

天徳寺

名水 ¥300
天徳寺境内奥の山麓一帯に広がる「若狭瓜割名水公園」は環境省から「名水百選」に指定されているが、あまりの水の冷たさに瓜が割れてしまったと云う伝説に由来しているという。皆どんな大きな滝かなと想像していたが、落差2mほどの小さな滝。水は神泉と云われており、あとから皆で少し呑んでみたが、今のところまだ御利益は現れていません。

(2)鯖街道熊川宿(1120〜昼〜1235)


鯖街道 熊川宿の町並み(中ノ町)

塗込造の洋服屋さん

名物は鯖寿司とおろしそば

紅殻格子と水路(前川)
道の駅熊川宿に駐車して、各自熊川宿1km強の川沿いの町並みを散策、昼食タイムもとる。この街道で古来多くの海産物や多くの鯖が若狭海岸から京の町に運ばれたことから鯖街道と云われるようになった。与謝野蕪村は「夏山や 通いなれたる若狭人」と詠んでいる。また大陸文化の受け入れ口の一つであった宿場町の面影を残す町並みは「重要伝統的建造物郡保存地区」になっている。

(3)三方五湖 :三方湖・菅湖・水月湖・日向湖・久々子湖

五つの湖がかもし出す微妙な色合いが神秘的といわれ、海水と純水の混ざり具合と、温度によって五色になるという 多様な魚類や水鳥や生息し、2005年ラムサール条約湿地に指定された。三方湖・湖畔からヒシの観察:縄文博物館前湖面一杯に広がるヒシをじっくり観察 実の形からはどんな想像?

縄文博物館

三方湖水面を覆うヒシ
レインボーライン:湖畔は梅の産地で有名 収穫時には木に下に地面一杯に広げられていたブルーシートはオフには、梅の木2,3本にくくりつけてある。

梅直売所

梅干

梅丈岳(ばいじょうだけ駐車場から日本海と三方五湖の展望

頂上展望台
三方湖、水月湖湖畔を回りレインボーラインへ、梅丈岳(ばいじょうだけ)中腹の駐車場広場から各湖や日本海を上から観察した。
(4)若狭海岸 自然観察 (14:35〜16:00)
ホテル前でバス内に荷物を置き、弁天岬から海岸に沿った山をぐるりと廻るおすすめコース近畿自然歩道「三方五湖を巡る道」の観察は、右側は澄み切った海と岩陰の小さな魚の観察をし、左側は切り立った山肌の多様な植物の観察が楽しめた。

弁天岬 宗像神社前にて

近畿自然歩道を行く

久々子海岸とホテルひろせ

若狭湾と弁天岬

観察リスト


ヤブマオウ(イラクサ科)

センニンソウ(キンポウゲ科)

ホツツジ(ツツジ科)

ナナカマド(バラ科)

オニドコロ(ヤマノイモ科)

クズ(マメ科)

ママコノシリヌグイ(タデ科)

カエデドコロ(ヤマノイモ科)

シャリンバイ(バラ科)

キョウチクトウ(同科)
(5)ホテルひろせ

ひととき(海のホテルひろせ)
夏休みも過ぎ、貸し切り同様の温泉にゆっくり入って汗を流し、楽しみにしていた夕食はさすが「海のホテル」と云うだけあって格安料金?でも、新鮮な海の幸たっぷり。アルコールも適度にはいって満足し、それぞれ話に華が咲いた夜でした。

第2日 2009.9.7(月)

(1)気比の松原
(9:10〜9:40)

全長1.5km白砂の浜と約1万7千本の赤松、黒松の国指定の名勝.。弁当を食べるとトンビが舞い降りてきて危ないとのこと。


気比の松原

海岸風景

気比の松原にて

(2)西福寺(9:55〜11:00)

浄土宗鎮西派中本山で約640年の歴史があり、書院庭園は国の名勝に指定されている。各自300円の拝観料を払って入園したが、見かけは可成り荒れていて名勝かと思えたが、園内の自然は多様で、じっくり観察が出来時間が足りないくらいでした。

西福寺

本堂

庭園
そば処はやし
昼食は敦賀で人気のある「そば処はやし」で おろしそば ニシンそば 
おろしそば ・にしんそばが人気

(3)中池見湿地(12:10〜14:45)

―中池見湿地とは―
なんで中池見なの?中池見湿地は、美濃−丹波帯の基盤岩の上に砂礫が推積し、その後地質化、寒冷化のあと、火山灰が降下し出来あがったと言われています。袋状埋積谷といわれる世界でも珍しい地形と、世界屈指の泥炭層の深さ40mの層中には、花粉や胞子などが眠っていて12万年前からの自然環境と気象を記録している世界的にも希少な場所です。厚い泥炭層があることで研究者の間ではよく知られており.、ここには2千種を超す動植物がすんでいます。
今回の観察会では、東側の「樫曲口」から湿地に入り、NPO法人ウェットランド中池見の笹木さんから中池見の概要について聞いてから、ほかの女性2名の案内で観察を始めたが、初めから珍しい植物に出合い動きがパタっと止まるほどであった。
観察ルートはこちら

樫曲口で笹木さん(右)ほか2名の女性の歓迎を受ける

トラスト広場で湿地の概要を聞く

湿地へ入る

稗で覆われてしまっている研究田

シンボルツリーのトトロの木(ハゼノキ)

ふれあいの里ビジターセンター付近の木道
中見湿地トラストの地からは湿地を半時計回りに一周し、「トトロの木」と云われているシンボルのハゼの木の存在も印象的でしたが、水田雑草の「デンジソウ」や「オオアカウキグサ」など珍しい植物の観察をしながら、トンボやメダカなどにも挨拶し、最後は「人と自然のふれあいの里」出口で笹木さん方と別れた。
湿地の植物

コナギ(ミズアオイ科)

デンジソウ(デンジソウ科)

オオアカウキクサ(アカウキクサ科)

ガマノホ(ガマ科)

ヘビの抜け殻(蛇谷で)
湿地周辺の植物

キンミズヒキ(バラ科)

ミズトラノオ(シソ科)

ミズタビラコ(ムラサキ科)

ヤブラン(ユリ科)

ミズアオイ(ミズアオイ科)

キツネノマゴ(キツネノマゴ科)

ガマズミ(スイカズラ科)

ギボウシ(ユリ科)

ゲンノショウコ(フウロソウ科)

ゴンズイ(ミツバウツギ科)

ヨメナ(キク科)

サワヒヨドリ(キク科)

シロダモ(クスノキ科)

ミクリ(ミクリ科)

マルバハギ(マメ科)

中池見湿地にて
一日、沢山の植物に出合い楽しく中池見湿地の観察が出来て幸いでした。反面、イノシシによる破壊も多々見られ、またアシなども繁茂しすぎている中池見を、対処療法では湿地らしさの環境をを保持しにくい中での活動は本当に大変と、現地NPOウエットランド中池見の皆さんのご苦労が偲ばれました。今回お忙しい中快く私どもの案内をしていただいた笹木さんと3人の方々に厚くお礼を申しあげます。
下記は「NPO ウェットランド中池見」の会報第29号(2009.10.1発行)掲載の記事です。
武庫ネイチャークラブ
文/青木、写真・編集/平山

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